ビジネスシーンに“コーチング”を取り入れて、業績の向上や人材育成に役立てる企業がとても増えてきています。
中でも、経営者を対象として行われる「エグゼクティブ・コーチング」の需要は高いものです。
会社規模の大小に関わらず、プロコーチと専属契約をする経営者は増え続けています。
一方で、経営者の中には、コーチングに対して懐疑的であったり否定的な態度を示す方も少なくありません。
実際に、コーチングに対して否定的な経営者に話を詳しく聞いてみると、
- 費用対効果が得られるのかという不安が大きい
- コーチングがなんなのかよくわからない
- 提示された金額が高くて門前払いをした
このように、何かと話題にはなっていて興味はある。
しかし、コーチングの実態を知らなかったり間違った解釈やイメージが原因で、前向きに検討できないという意見を多く耳にします。
そこで今回は、多くの経営者がなぜコーチを付けるのか、その理由について詳しく解説します。
経営者はコーチングにどんな効果を求めているのか。
そして実際にどのような効果が生まれるのかを知れば、コーチを付けることに対する考え方が変わるかもしれません。
まずはそもそも経営者を対象として行われる「エグゼクティブ・コーチング」とは、一体どんなコーチングなのかを解説していきましょう。

経営者にコーチが付いていること。それが当たり前の世界が待ち遠しい!
エグゼクティブ・コーチングと一般的なコーチングの違い
経営者(エグゼクティブ層)を対象としたコーチングは、「エグゼクティブ・コーチング」と呼称されています。
相対的にコーチ料が高めに設定されていることが多く、明確な差が判らないことから不信感を抱く経営者の方も少なくありません。
まずはエグゼクティブ・コーチングと一般的なコーチングの違いを知っておきましょう。
基本となるセッション方法は同じ
エグゼクティブ・コーチングと一般的なコーチングを比較したとき、コーチングのセッション方法だけを見た場合に大きな差はありません。
コーチングは基本的にコーチと1対1の対話形式で行いますが、エグゼクティブ・コーチングでも同様です。
コーチと経営者の対話によってコーチングが進められ、目標設定~行動創出の流れは変わりません。
一見すると同じコーチングに見えてしまう。
そのため、通常よりも高いコーチング料を提示されると「騙されている」や「値を釣り上げている」と感じてしまうのかもしれません。
取り扱うテーマの範囲が全く違う
取り扱うテーマの範囲には大きな差があり、見方を変えれば「全くの別物」と捉えることができます。
コーチと話し合うテーマは、【ビジネス上の広い範囲】に及ぶことが多いという特徴があります。
事業運営上の課題、組織運営、営業、マーケティング、財務etc・・・
経営者個人に関するテーマはもちろん、企業全体まで広い範囲をテーマとしたコーチングを受けることが出来るのです。
コーチとの対話で進められる話題の中心は【個人】に関するテーマです。
仕事に関する悩みや不安、人間関係に関すること、恋愛や将来についてetc・・・
コーチングを受ける人によって、仕事なのかプライベートや生き方なのかという違いはありますが、全てに共通しているのは「自分自身について」がテーマになっている点です。
エグゼクティブ・コーチングだと、数値計画を一緒に練ったり、BtoBのマーケティング手法を共に検討したりなど、
超具体的なビジネス的テーマも頻出します。

コーチにも経営的な知見が求められますね
経営者が抱える悩みや問題とは
エグゼクティブ・コーチングを前向きに検討する経営者の大多数が、自分個人の悩みだけではなく“経営者ならではの悩み”を抱えているものです。
一体、経営者はどのような悩みを抱えているのでしょうか?
経営者の悩み①人材に関する問題
(出典:経済産業省「2022年版 中小企業白書・小規模企業白書 概要」)
経営者が抱える悩みで最も多いのが、「人材」をテーマとしたものです。
上図は、中小企業庁がHPにて掲載している中小企業白書内で、経営者に重視する経営課題をアンケート調査した結果。
「人材」を重要課題として回答した経営者は全体の82.7%と、いかに経営者が人材に関する問題を気に掛けているかが判ります。
実際、エグゼクティブ・コーチングを行っていても話題に挙がるのが以下です。
- 人材育成や人材採用に関するテーマ
- 後継者の育成に関するテーマ
- 人事編成や再編に関するテーマ
もう100%出てくると言っても過言ではないです。
経営者のほとんどが、何らか人材にまつわる問題を抱えていて、それを解消したいと強く考えています。

人はコントロールできないからねぇ
経営者の悩み②収益性の向上
経営者であれば、当然の悩みとして挙げられるのが”収益性の向上”に関する問題です。
- 事業の拡大
- 新商品や新サービスの開発
- 生産性の向上
- 顧客ニーズの先取り対応
- etc
抱える悩みを細分化すればキリがありません。
「もっと利益を伸ばして企業を発展させたい!」ということは、経営者であれば誰しもが抱く永遠のテーマです。
業種や会社の規模によって、具体的な悩みの種類やテーマは異なりますが、
経営者という立場にある以上、「会社の売上」を考えない日は無いというのは当然かもしれません。

多くの経営者が、24時間365日ビジネスのことを考えていますよね?
そして、多くの経営者がその重責について悩み苦しんでいるのも事実です。
「経営者という立場になってから、心が休まると思える時間が極端に減った」
コーチングをしている中で、このような気持ちを吐露する経営者も多く、
弱音を吐くことも許されないという立場にストレスを感じてしまう人も少なくありません。
売上がいくら減ろうが、人件費などの固定費を払わないなんてわけにはいかないですからね。
経営者の悩み③個人的な悩み
もちろん、経営者と言えども一人の人間。
個人的な問題で悩んでいるケースもあります。
例えば家族のことであったり、自分自身の経営者としての能力についてなど、
「自分自身」の在り方で悩み苦しんでいる人も数多くいます。
多くの経営者がなぜコーチを付けるのか
なぜ経営者の多くがコーチを付ける理由は主に以下の3つでしょう。
- 相談相手が欲しいから
- 決定権が常に「自分」にあるから
- 人間関係の重要性を熟知しているから
それぞれ詳細を解説します。
経営者がコーチを付ける理由①相談相手が欲しいから
会社での立場や責任が大きくなればなるほど「相談」ができる相手は減っていきます。
例えば、会社の売上が低迷していることを、自社の社員に相談できるでしょうか?
「この会社は大丈夫なのか…?」と不安を煽ってしまうのがオチです。
経営者の多くが相談相手の不在という孤独を抱えているのです。
エグゼクティブ・コーチングにおけるコーチは、あくまでも客観的で公平な視点で話を聞いてくれる良き相談相手となります。
この相談相手という存在は経営者にとっては得難いものであり、
自分の考え方や目指すべき方針について「深く考える時間」や「異なる視点」を与えてくれます。
もちろん単に話し相手を求めるだけなら友人や家族でも充分。
ビジネス的な業界トークも同業者と行えるでしょう。
ですが、自社のことをフルオープンにした状態で、利害関係なく相談できる相手は中々いないものです。
コーチングを行うプロコーチは、ビジネス上の悩みや問題についても共に考えてくれるパートナーという一面も併せ持っているのです。
常に走り続けなければならないという、焦燥感や恐怖心を感じる経営者であれば、
コーチという相談相手との対話が癒しとなり、穏やかな精神状態で考えを巡らせることもできるようになります。
信頼できるプロコーチは、経営者にとっては自己を高めるきっかけを与えてくれる存在であると同時に、
精神安定剤のような相談相手でもあるのです。
経営者がコーチを付ける理由②決定権が常に「自分」にあるから
経営者は「他人から指示されることを嫌う」というタイプがとても多いです。

意思決定は自分でしたい!このペン一つだって俺の血が通ってる!
エグゼクティブ・コーチングの場合、コーチとの対話で目標や抱えている問題点を明確化した上で、
「どうするか」を決めていくのは経営者自身が行います。
事業上の舵切りをコンサルに任せる…なんて経営者はいないでしょう。
豊富な知見と自身の経験に裏打ちされた感性をもって意思決定することがほとんどだと思います。
エグゼクティブ・コーチングは思考をブーストさせるような存在であり、
明確な意思決定を行うのは経営者本人。
これも経営者がコーチを付ける理由の一つと言えるでしょう。
経営者がコーチを付ける理由③人間関係の重要性を熟知しているから
経営者がコーチを付ける理由には、人間関係の重要性を熟知しているからということもあります。
いわば、マネジメントにおいてコーチングの考え方やスキルを身に付けたいということです。
人って本当に大切な経営資源でして、人がいなければビジネスは動き出さないんですよね。
システムが勝手にお金を稼いでくれるぞ~!ウハウハ!みたいなことは、まぁないです。
1,000社さま以上お話していますが、そんな人に会ったことがありません。
システムの裏側では、人力ゴリゴリで回しているみたいなことも普通です。
とにかく人が重要。
そんな中、コーチング的な会話を身に着け、マネジメントに活かす。
離職率低減、モチベーション向上へ繋げたいという層は多くいます。
エグゼクティブ・コーチングがもたらす効果とは
経営者(または経営陣)がコーチングを受けることは、どのような効果をもたらすのでしょうか。
- 精神的な安定
- 意識や行動の変化
エグゼクティブ・コーチングが経営者と企業にもたらす効果は、主に上記2つとなります。
これらに伴って、企業の至上命題である売上向上や利益率の改善へと寄与します。
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
精神的な安定
経営者が最初に感じる効果として、精神的な部分での安定があります。
- 常に付きまとう焦燥感や不安感の解消
- 本音を言える相談相手の獲得で得られる安心感
- 目標や将来のビジョンを明確にすることで得られるモチベーション
信頼できるコーチを得ることは、経営者にとっては精神的部分での正常化という効果が期待できます。
貧すれば鈍する。
中々集客が回らない、売上が上がらない。
このような状態の時、まず考えるのはコストカットでしょう。
事業がうまくいっていない時、基本的には縮小傾向の意思決定を取りがちです。
また、当たり前のようにイライラと焦燥感に取り憑かれます。
金融機関やVCから調達が回っているなど、ステークホルダーが多ければ多いほどその圧力は強いです。
コーチとの対話により、「何が不安なのか」「具体的に何を目指すのか」などを明確化していく作業を行う。
何から手を付けるべきか、そもそもどう在るべきかを再度捉え直すことで、
経営者は高いモチベーションと安定した精神状態を得られるのです。
たったそれだけ?と思う人が居るかもしれませんが、気持ちがマイナスに振れている時、
正常な判断や冷静な視点を得るためには大きなメリットとなります。

やばいときって、焦った意思決定をしちゃって成果が出ないんだよね。
意識や行動の変化
エグゼクティブ・コーチングを継続的に行うと、意識と行動が変わり始めます。
経営者自身が「問題点」や「目標」を明確化すると、その流れで具体的に何をしていくべきかを深く考えられるのです。
- そもそもどんな経営者で在りたいのか?
- あなたの会社のミッションは何なのか?
- 5年後のビジョンは?
- 社会にとってどんな存在になりたいのか?
- 今期の売上目標はいくらで、粗利益率をどれくらい確保するか?
- 広告は何の媒体にどれくらい使って、利益額でいくらを目指すか?
経営者としての在りたい姿や企業としての目的。
財務的な数値目標が決まれば、日々の行動にも変化が現れそうな気がしませんか?
意識が変われば行動が変化します。
行動が変化すれば、得られる現実が変革するのです。
影響力のある経営者だからこそ組織全体に効果が及ぶ
意識や行動に変化が現れた経営者が実際に動き出すと、その影響は組織全体に及んでいきます。
例えば、元々はコミュニケーションを軽視していた経営者。
コーチングに触れたことで考え方へ変化が起こり、実際に身に付けたコーチングスキルを実践してメンバーと接したとしましょう。
「なんか今日は社長がちゃんと目を見て話を聞いてくれた!」
「これまではなかったけど、明確な会社の目的について話してくれた!」
「どうやら会社の目標が個人の人事評価制度にもつながってるみたい!」
とモチベーションが上がり、さらにその部下に・・・と、
結果的に組織全体のモチベーションが向上する効果に繋がるでしょう。
要職に就く人材に「コーチングを学んでもらう」という、導入方法を実践する経営者もいるでしょう。
経営者がコーチを付けることで起こる効果は、
- モチベーションの向上や思考の最適化が行われる
- 実際に経営者が考えた方針やアイディアを実行に移せるようになる
- 結果的に、組織全体へと影響をもたらし状況が好転していく
エグゼクティブ・コーチングを依頼する人が多いのは、
経営者自身が自己研鑚を強く望んでいることや、コーチングスキルの有用性に気付いているからだといえるでしょう。

トップが変われば組織は変わる!
続いては、エグゼクティブ・コーチングの効果を最大化するために重要な「コーチ選び」について解説します。
エグゼクティブ・コーチングはコーチ選びが重要
コーチングは1対1の対話形式で行うという特性上、コーチとの相性が悪ければ、継続することを苦痛に感じてしまう恐れがあります。
- フィーリングが合わないと感じる
- 顔や目つきが好きになれない
- 話し方や抑揚が気になる
など、直感的に「あ、このタイプは嫌いかも」と感じてしまうと、コーチングの効果を最大化できません。
では、何を基準にコーチを選べばいいでしょうか?
基本的には以下3つを見極めるポイントとして持っておくのが良いでしょう。
- 経営的な知見を有していること
- フィーリングが合うこと
経営的な知見を有していること
「経営的な知見を有していること」は重要な要素です。
いくらコーチングのスキルに長けていても、
経営者の悩みや不安に寄り添えるだけの経験値が無いコーチに、全幅の信頼を寄せることは難しい。
経営のアドバイスをもらう存在ではないですが、
ある程度ビジネスの商流や一般論の理解がなければ、会話そのものが成立しません。
(コーチ側としても、エッジの効いた質問を投げられないと思います。)
また、経営的な知見が指し示すものとは、事業、財務、組織に関する事柄です。
なお、これらのカテゴリにおいて横断的な知見を持っているコーチは極めて…極めて稀ですので、
営業経験が豊富、マーケティングに知見がある、元会計事務所出身、元人事コンサル…など、
特定の分野において深い知見を持っているコーチを選ぶのも一つでしょう。
フィーリングが合うこと
結局のところ、フィーリングが合うことも大事です。
なんらかクリエィティブなどの成果物が明確なものであれば、能力的に優れてさえいればOKかもしれません。
しかし、コーチングは会話が売り物です。
フィーリングが合わなければ、コーチングの効果を感じられることも少ないと思います。
- なんだか会話のリズムが噛み合わないな…。
- なんか深いところで話せていない気がするな…。
こういったことを感じる場合は、そのコーチは選ばない方が良いでしょう。

多くの人を見てきた経営者であれば、5分くらい話せばなんとなく合う合わないが分かりますよね!
コーチングに精通した人材を配置して企業発展を目指す
エグゼクティブ・コーチングは経営者自身を高めつつ、収益向上を目指すことができるコーチング。
人材育成や組織全体の行動や意識の変革を考えるのであれば、【コーチングに精通した人材】を配置するという選択肢もあります。
部署のリーダーや、プロジェクトの責任者など。
社内の円滑なコミュニケーションを行う立場の人材にコーチングを学ばせることで、実際に成果を挙げている企業は少なくありません。
経営者がコーチングスキルを持つ人材を獲得しようと考えたとき
- コーチングの資格を持つ人材を新たに獲得する
- 既存の人材にコーチングを学ばせる
- 外部からプロコーチを雇い入れる
上記3つの選択肢が考えられますが、コストや継続的な効果を期待するのであれば1か2を選ぶのが現実的です。
そして、求人の手間やコストを考慮すると、2の「既存の人材にコーチングを学ばせる」ことを選ぶ経営者が多いのではないでしょうか。

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